遺言書を作成する場合

2 遺言書とはどのようなものですか。

遺言書とは自分が死んだ後に、遺産の処分方法をはじめ一定の法律的効果が発生するように、その人の最終の意思が一定法律上の形式に従って作成された文書です。
遺言をした人の死後、その遺言書の内容の効果が法律によって保証されます。
遺言は、法律行為の一種で、相手方がいなくてもできる単独行為とされます。

2-1 遺言書は次のような場合に作成します。

民法はその886条以下に相続の原則な取扱いを定めています。
しかし遺言をする人が、この原則的な取扱いと異なる相続を望む場合には、遺言書にそのことを記載しておくことになります。
たとえば相続人が妻と子供二人の場合では、その法定相続分は妻が2分の1、子供が1人あたり4分の1になりますが、これからの妻の生活を考えて遺産の4分の3を残したいと考えたときには、遺言書にそのことを記載します。
民法は遺言をする人の意思を尊重して、その相続に関する原則的な取扱いに優先させることとしています。

2-1-1 相続トラブルの回避する場合。

遺言書があれば相続で遺産を分割する際のトラブルを回避しやすくなります。
遺言書には被相続人の遺産に対する遺志が記載されていますので、相続人が故人の遺産を分割する際のベースとなります。
相続人の全員が承認すれば遺言と異なる遺産分割をすることは可能ですが、やはり遺言に示された故人の遺志を尊重していくことによって、相続人間の無用の混乱を避けることができるのです。

2-1-2 相続人が兄弟姉妹のみの場合。

あなたに相続人である妻や子供がいなくて、兄弟姉妹のみが相続人である場合にはぜひ遺言書を作成するべきです。
あまり仲の良くない兄弟姉妹には自分の財産を残したくないという場合もあるでしょう。
また兄弟姉妹のうちにすでに死亡している人がいる場合には、その子供たちが代襲相続により相続人となりますが、ほとんど面識のない甥、姪には財産を残したくないという場合もあるでしょう。
さらには兄弟姉妹の子供や孫が枝分かれして、相続人が多数に上り、遺産分割が困難になるケースも多く見られます。
このような問題を避けるためには遺言書を作成し、自分の財産を残したい人を指定することによって、自分の財産が兄弟姉妹やその相続人たちに相続されることを回避することができます。

※兄弟姉妹やその相続人には遺留分はありませんので、遺言で財産を残したい人を指定すれば問題はなくなります。

2-1-3 特定の人に遺贈したい場合。

人は生きている間は自分の財産を自由に使うことができます。
それを尊重して、その人が自分の死後その財産を特定の人に残したいと考えている場合には、遺言書にそのことを記載することによって、それが法律的に保護され実現できます。
これを遺贈といいますが、自分の財産のなん分の一を遺贈するという包括遺贈の方式と、特定の財産を遺贈するという特定遺贈の方式があります。
ただし特定の人に対する遺贈の割合が相当に大きく、相続人の法定相続分からの乖離が大きい場合には公平を欠くことになるため、遺留分制度によって遺言者の意思では奪うことのできない相続分を定めています。

2-1-4 特定の相続人に事業を承継させたい場合。

例えば遺言をする人が会社を経営していて、子供たちのうち1人だけが親の会社で働いており、いずれその子供に会社を引き継がせたいと考えている場合です。
会社の経営を引き継ぐためにはその株式をその子に相続させなければなりません。
他の子供もその株式を相続すると、多くの場合、会社経営のトラブルのもとになります。
このような場合に遺言書に会社の株式のすべてをその子に相続させること、他の子供たちにはその他の財産を相続させることを記載します。
そのようにして遺言によって相続のトラブルを回避し、会社の承継を実現します。

2-1-5 遺贈による寄付を考えている場合。

「法定相続人がいない」、「社会へ恩返しがしたい」など様々な理由で、ご自身の財産をその死後に、社会奉仕活動に従事する個人や団体に寄付することをお考えの方が増えてきています。
このような場合には遺言書にどのような財産を、どのような個人や団体に遺贈をするかを記載し遺言執行者を決めておきます。
これを遺言による寄付といいます。
遺言による寄付を受けた個人や団体では、その寄付された方のお名前を永く残すようにしているところもあります。

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