遺言での決定事項

2-4 遺言では次のような事項が法的に決定できます。

遺言では次のような事項を法的に決めることができます。
①身分関係に関する行為
②相続の法定原則を修正する行為
③相続以外の財産処分行為
④その他の行為
以上ですが、その詳細についてはこれから説明します。

2-4-1 身分関係に関する行為。

遺言でできる、身分関係に関する事項は①認知と②未成年後見人の指定、後見監督人の指定です。
①認知とは非嫡出子(婚姻外にできた子供)を自分の子として認め、法的親子関係を生じさせることです。
また未成年者に後見人がいないなどの場合、②未成年者の後見人(※)や後見監督人(※)を遺言で指定することができます。

(※)後見人とは、未成年者あるいは判断能力が十分でない成年者に対する看護教育,療養看護,さらに財産管理などの保護にあたる人。民法上の法定後見と人,「任意後見契約に関する法律」に基づく任意後見人とがあります。
後見監督人は後見人の監督などをする人で、未成年後見監督人と生年後見監督人があり、必要に応じて家庭裁判所が選任します。

2-4-2 相続の法定原則を修正する行為。

遺言でできる、相続の法定原則を修正する行為とは、以下の行為です。
①推定相続人の廃除および廃除の取消
推定相続人が被相続人に対して、虐待し、重大な侮辱を加え、著しい非行を行った場合に、推定相続人から相続権を奪うことが廃除で、遺言ですることができます。
また生前に行ったこの廃除を遺言で取り消すこともできます。
②相続分の指定または指定の委託
被相続人は遺言で共同相続人の相続分を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができます。
③特別受益のもち戻しの免除
共同相続人のなかに被相続人から特別な受益を受けた者がいる場合には、被相続人の遺産にこの特別受益財産を加えたものを相続財産とみなし、その者の相続分からこの特別受益財産を控除するのですが、このもち戻しを遺言で免除することができます。
④遺産分割方法の指定および指定の委託
被相続人は、遺言で、遺産の分割方法を定めることができます。また遺産の分割方法を定めることを第三者に委託することができます。
⑤5年以内の遺産分割の禁止
被相続人は相続開始の時から5年を超えない期間の間、遺産の分割を禁止することができます。
⑥相続人相互の担保責任の指定
相続人相互は、相続財産に瑕疵があった場合、相続債権の全部または一部が回収できない場合などに共同して担保責任を負っていますが、遺言でこの民法の規定と異なる担保責任を定めることができます。
➆遺留分減殺方法の指定。
複数の遺贈により侵害された遺留分がある場合には、どの遺贈によって遺留分が侵害されているのか特定できません。
この場合は按分することとしていますが、遺言により別の方法を指定することができます。

2-4-3 相続以外の財産処分行為。

遺言でできる相続以外の財産処分行為とは、以下の行為です。
①遺贈
遺言者は包括遺贈または特定遺贈の方法で、その財産の全部または一部を処分することができます。ただし遺留分の規定に反することはできません。
②一般財団法人の設立
遺言者は、遺言で、一定の事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができます。
③信託の設定
遺言者は、遺言によって、信託を設定することができます。
この場合、遺言の記載事項は、遺言者の財産のうち全部または一部を信託する旨、その目的、管理処分方法、受益者、受託者、信託報酬の額または算定方法などであり、契約による信託とほぼ同様です。

2-4-4 その他の行為。

遺言でできるその他の行為とは、以下の行為です。
①遺言執行者の指定および指定の委託
遺言者は、遺言で、遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託することができます。
②祭祀に関する権利の承継
遺言者は、遺言で、祖先の祭祀を主宰する者を指定することができます。
そして系譜、祭具および墳墓は祖先の祭祀を主宰する者が承継します。
③生命保険金の受取人の指定、変更
遺言者は、遺言で、自分が契約者である保険金の受取人を変更することができます。
ただし遺言者が被保険者でない保険契約の場合には、被保険者の同意がなければ効力が生じないとされています。

より良い相続のために

スムーズな相続には専門知識が必要です。
相続税対策に強い税理士法人シンワ綜合税務は、豊富な実績と経験で自信をもって支援しております。
行政書士に関する業務は併設するシンワ行政書士事務所が担当します。
相続を円満に進めたい。相続の準備を考えたい。財産と相続税がどれ程になるのか。事業継承を進めたい。
などぜひご相談ください。