遺産分割の方法

13-2 遺言に従い分ける方法があります

民法には「被相続人は遺言で各相続人の相続分を定めることができる」という条文があります。これを遺言による「相続分の指定」といいます。
さらに民法は「遺産の分割方法を遺言で定めることができる」という条文もあります。これを「遺産分割方法の指定」といい、遺言によらなければ効力がありません。
まず被相続人が残した遺言に記載された「相続分の指定」や「遺産分割方法の指定」に従い遺産を分割する方法があります。

13-3-3-2 遺言と異なる遺産分割もできますか

相続人全員の合意のもと、遺言と異なる遺産分割はできます。
ただし①遺言によって遺産分割協議が禁止されている、②遺言執行者が選任されており遺言執行者の同意が得られない場合には遺言が優先し、遺産分割協議は行えません。
そのような場合でも遺言書のとおりに遺産分割すると極めて不公平である、また相続人の生活に支障が生じてしまう、さらに遺留分を侵害している等の状況がある場合には、相続人全員の同意のもと遺産分割協議により、遺言の内容と異なる遺産分割ができます。

13-3-3-1 現物分割という方法が一般的です

一般的な遺産分割方法の方法であり、最も多く使われています。
簡単に言うと遺産を現物で「そのまま相続する」方法です。
例えば居住の用に供している土地建物は相続人A、貸している土地建物は相続人B、有価証券は相続人C、預貯金は相続人Dというように遺産をそのまま各相続人が相続する方法です。土地については一筆の土地が広い場合には、複数の相続人に分けるため、分筆して相続することも可能です。
現物分割の長所は手続きが簡単なことです。
それぞれの相続人が名義変更の手続きをすれば手続きが終了します。
短所は遺産分割の公平性を図るのが困難となることです。
遺産を分割することが困難な場合、例えばそれ程大きな面積でない土地、建物で複数の相続人に相続させることが難しい場合など、相続人間に不公平を生ずることがあります。

13-3-3-3 代償分割という方法があります

代償分割とは、遺産の分割にあたって相続人の一人または複数人が相続財産を現物で相続し、その他の相続人に代償金を支払うことにより遺産分割の公平性を図るという分割の方法です。
この場合の相続税の計算は、代償金を支払う相続人は、現物で相続した財産の価額の合計額から、支払うべき代償金の額を差し引いて相続税額を計算します。
反対に代償金の支払いを受ける相続人は、支払いを受けた代償金の額を相続財産に含めて相続税額を計算することになります。
また代償分割により代償金を受けた場合には、小規模宅地の特例の計算において調整計算を行うことで相続税額を有利に計算することができます。
詳しいことは直接お問い合わせください。

13-3-3-4 換価分割という方法があります

換価分割とは、遺産を換金してその代金を相続人で分ける方法で、遺産分割の公平性を最も図ることができる分割の方法です。
換価分割を行う場合において、相続人の一人がすべての財産を相続して、その相続した財産をすべて売却し、その売却代金を一定の手続きに従って他の相続人に分配する場合には、贈与税の課税が生じることはありません。
換価分割の問題は土地、建物等を売却した場合に譲渡所得課税があることです。
各相続人の譲渡所得の収入金額は売却代金の分配額となりますが、その土地、建物等の譲渡が相続税の申告期限の翌日から3年以内に行われた場合には、譲渡所得の計算について相続税額の一部を控除する特例の適用があります。

13-1 遺産の分割対象にならない財産があります

遺産分割は、相続開始日に現に存在する被相続人の財産について行うものです。
しかしこれらの財産でも遺産分割の対象にならない財産もあります。
代表的なものは金銭債権であり、金銭債権は遺産分割をすることなく各相続人の法定相続分の割合で相続することになります。
しかしながら現実的には、金銭債権も含めて遺産分割することが多く見受けられます。
相続税法では、これらの遺産分割の対象にならない財産が相続財産として申告されさえいれば、分割をしてもしなくても問題はないと考えられます。
また生命保険金や死亡退職金は、通常、その受取人が指定されており、相続人に帰属する本来の相続財産でないことから、原則として遺産分割の対象とはなりません。
被相続人一身に専属した権利義務は相続財産に含まれないことから、当然遺産分割の対象となりません。
被相続人一身に専属した権利義務とは扶養請求権、財産分与請求権、公的年金請求権などで、被相続人の地位に伴うもので本人しか行使できず、他人への譲渡などができない権利です。

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