その他財産の評価

12-1-5-1 車の評価方法

亡くなられた方が所有していた自動車も相続財産となります。使用していたからと言って所有者とは限りません。購入時の書類や車検証、自動車税通知書から所有者である事を確認します。
自動車は特別に定められた計算方法はなく一般動産として売買実例価額等で評価します。売買実例価額等とは、亡くなられた日にその自動車を売ったらいくらになるかという価額のことです。
今はインターネットで簡単に調べることが出来ます。売却を希望している場合、直接中古車買取り業者に査定を依頼し、買取りの見積金額を算出してもらうことが出来ればその金額が評価額となります。
調べることが難しい場合は、亡くなられた時点の同種の新車の価額から定率法による償却費を差し引いた金額で評価することができます。一般的な車は耐用年数が6年なので、中古車販売業界で取引されないような年数が経過した車は0円評価となることもあります。

12-1-5-2 骨董品、絵画、宝石の評価方法

骨董品、絵画、宝石も相続財産となります。評価としては①販売業者が所有するものは、たな卸資産の評価により、②①以外の者が所有するものは、売買実例価格、精通者意見価格等を参酌して評価するという決まりがあります。
一般的な家庭の場合は②に当てはまります。価値があると思われる骨董品などは鑑定士に依頼し評価額を出してもらう必要がありますが、高額な鑑定料がかかってしまう可能性があります。価値のあるものかどうか不明な場合は、リサイクルショップなどの買い取り業者に相談して無料で査定してもらう方法もあります。

12-1-5-3 会員権の評価方法

会員権の代表的なものにゴルフ会員権、リゾート会員権などがあります。
亡くなられた方が長く利用していない場合など、家族は会員権のあることを知らない場合もあります。残された遺品を整理して、その中から会員証や購入時の書類を見つけ出す必要があります。これらの会員権は相続財産となりますので評価が必要です。
会員権の評価は、取引相場のある会員権とない会員権の二つに区分されますが、大半は取引相場のある会員権の評価となります。
評価方法は、課税時期における通常の取引価格の70%相当額です。取引価格の70%相当額で評価するのは上場株式のように公開された市場で取引が行われるものではないことなどの理由によります。
取引価格はインターネットで調べることができますが、一つの業者で判断をせず、多数の取引業者による複数の相場で確認することをお薦めします。

12-1-5-4 貸付金の評価方法

亡くなられた方の遺品の中から金銭消費貸借契約書や他人名義の借用証書が見つかることがあります。亡くなられた方が親戚や他人にお金を貸した際に作成したものです。
金銭消費貸借契約書や借用書が見つかった場合には、その相手の方に確認をしたうえでそれが事実であれば貸付金として相続財産に含める必要があります。
また亡くなられた方が個人で事業を行っていた場合には取引先に対する売掛金、未収金等も貸付金として相続財産に含める必要があります。
さらに会社の経営者が自分の会社にお金を貸し付けていた場合なども貸付金として相続財産に含めることになります。
評価方法は貸付金元本の価額と利息の価額の合計額で評価しますが、貸付先が倒産、破産といったような状況にある場合は貸付債権が回収不能となりやすいことから、元本の価額から回収ができない金額を除くという取り扱いができます。

12-1-5-5 電話加入権の評価額

電話加入権も相続財産となります。
電話加入権はNTTから電気通信の役務の提供を受ける権利をいいます。
評価方法は、①取引相場のある電話加入権は、課税時期における通常の取引価額で評価します。②①以外は売買実例価額等を基として、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額で評価します。標準価額は財産評価基準書に記載されていて、例えば東京国税局は1,500円(令和2年)となっています。
携帯電話の加入権は評価しません。

12-1-5-6 著作権、特許権の評価方法

著作権は著作物を保護するための権利です。著作物とは思想又は感情を創作的に表現したものであり、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。この権利は価値を求めるのが難しいところがありますが、相続財産となります。
評価方法は、課税時期の属する年の前年以前3年間の年平均印税収入の1/2に著作物の精通者の意見等を基とした倍率をかけて求めます。

特許権は、発明をした人の利益を保護するための権利です。権利の存続期間は出願から20年ですので、特許を持った人が亡くなった場合には相続財産として引継ぎます。
評価方法は、特許を他人に実施させて利益を得ている場合と、自ら実施している場合に分けることになり、細かい計算式が定められています。
どちらの場合にも将来受け取る見込みの補償金が50万円に満たないときは評価には含めません。

12-1-5-7 家財の評価

家具、電化製品、衣類など家庭用財産も金銭的価値があるものは家財として評価しなければなりません。原則として1個又は1組ごとに評価することになっていますが、一つ一つ評価することは大変な労力を要しますので、一単位の価格が5万円以下のものは一世帯ごとに評価し、家財一式として全体を評価額とします。

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